災害 NPO ネットとは
近年、増加傾向にある台風や大雨による大規模な自然災害に対応するため、さまざまな地域組織や NPO、企業や行政等の連携による中長期的な被災地支援の仕組みづくりが求められています。
同時に、日々、様々な社会課題に取組む NPO による専門的な支援や、復旧から復興へと移行していく中での中長期的な支援など、NPO ならではの支援活動が着実に成果を上げています。
大規模な自然災害による被害が府内に発生した場合、京都府内で活動する市民団体を含む広義の NPO 等が有する高度な専門性や豊富な現場経験を活かし、被災地において個別具体的かつ中長期的な支援活動ができる連絡・派遣と加盟団体が相互に助け合う仕組みとして「災害時連携 NPO 等ネットワーク」を設立し、加盟を希望する団体を募集しています。
支援対象は、災害発生から概ね 72 時間が経過し、NPO 等による支援活動が安全に行える見通しが立った段階から、これまで既存の制度やネットワークでは対応が難しかった、スペシャルニーズや支援の網から漏れているニッチなニーズを想定しています。また、平時から可能な限りそのニーズに寄り添えるように、災害時に支援をする側・受ける側のそれぞれに想定される状況と必要なニーズ把握を行います。災害時に適切な支援機能が発揮できるような平時の関係構築と対応可能な支援メニューや情報の整理を行い、NPO 等による被災者への支援や NPO の相互支援を行います。
1 ネットワーク構築の目的
近年京都でも増加傾向にある台風や大雨等の自然災害において、自治会等の地域組織やボランティア団体・NPO 法人・市民活動団体、企業や行政等、様々な主体の連携による被災地支援の仕組みづくりが求められています。
災害時連携 NPO 等ネットワーク(以下、「災害 NPO ネット」という。)は、自然災害による被害が京都府内で発生した場合、府内で社会課題の解決や公益性を担って活躍している NPO(NPO 法人、自治組織、経済団体等)が有する専門性や豊富な経験を活かし、地域の自治体との連携などにより、直ちに「特別なニーズをもった被災者への支援及び NPO 等の相互支援」を行うことができるよう、普段から関係団体がつながりを持ち、支援ノウハウの習得や人材育成、情報交換等を行うことを目的としています。趣旨に賛同する団体は、この災害 NPOネットにおいて加盟登録団体として登録の上、活動を行います。
災害 NPO ネットは、① 従来には十分対応できなかった、特別な事情を抱える被災者からの支援ニーズ(スペシャルニーズ) に、NPO の専門性を活かして対応するなど、これまでの仕組みでは困難であった支援を行うことを目指しています。
また災害時には、② 被災地域にある加盟登録団体に「ひと声かけて」安否確認を行い、被災状況を聞き取りながら支え合うことを目指します。
災害時を想定し多種多様な支援ニーズに可能な限り応えることができるよう、支援を行う側、受ける側、双方の状況を予測し対応可能なメニューを準備するとともに、平常時からの団体関係構築を行います。
2 災害 NPO ネットの 6 つの機能
加盟登録 (連携団体を募集)
- 災害時の連携を想定した「支え合う仕組み」として、加盟登録を行います。
- 加盟登録団体の連絡網等を整備し、平常時においてのつながりも大切にします。
※ 加盟登録団体連絡網は一定の地域ごと (市町村単位等) に分けて整備し、それぞれの地域での連携を促します。
加盟登録団体の安否確認 (災害時)
- 災害発生時、被災地にある加盟登録団体と連絡を取り、安否確認や被災状況の共有を行います。
- 安否確認の連絡は、災害 NPO ネット事務局が中心に行います。
- 被災地にある加盟登録団体からの連絡も、災害 NPO ネット事務局が受ける他、専用ホームページ等を活用し被災状況の共有を図ります。
- 災害 NPO ネットが、加盟登録団体の被災状況に応じて、必要な支援物資・支援メニューにより可能な限り支援します。
特別なニーズへの支援と支援時期 (災害時)
- これまで対応が困難であった、もしくは従来は十分に対応できなかった支援ニーズにできるだけ対応します。
- 特別な物資等 (食物アレルギー除去食等) の補完支援など、被災地の状況や地域事情に応じた支援を活動の安全が確認された段階から行います。
※ 特別なニーズに対する支援メニューの例:「乳幼児の一時預かり」、「子どもとの遊びや学習支援」、「高齢者への傾聴や居場所づくり」、「外国人被災者支援」、「食物アレルギー除去食への対応」、「避難所のペット対応支援」等
災害時のオペレーター*1 及び地域コーディネーター*2の人材育成
- 災害 NPO ネット設立目的の達成に向けて必要な役割を担う本部オペレーター*1 や地域コーディネーター*2 の人材育成を行うため、体系的・専門的な研修プログラムを行います。
- 加盟登録団体に対し、それぞれの地域において災害ボランティアセンター等との合同訓練や研修等への参加機会をつくります。
*1 本部オペレーター : 災害時に災害 NPO ネット本部において、支援ニーズと支援内容の調整を行いマッチングを行う人
*2 地域コーディネーター : 災害時に、災害ボランティアセンター等に出張デスクを設置し、市町村、災害ボランティ アセンター・ 社会福祉協議会等と連携して、現地ニーズの収集及び災害 NPO ネット本部に情報発信を行う人
支援基金の創設とファンドレイジング (資金調達)
- 「災害時連携 NPO 等ネットワーク基金」を公益財団法人京都地域創造基金に設置し、災害 NPOネットの活動資金を管理します。
- Yahoo! 等との連携によりクラウドファンディング*3 による寄付を募ります。
- イベント等の開催や積極的な広報活動により広く府民を対象とした寄付支援の呼びかけを行います。
*3 クラウドファンディング:不特定多数の人にインターネット等を通じて行われる寄付の呼びかけや財源の提供や協力などを行うこと。
専用ホームページの構築等 (支援ニーズ・資源マッチングシステム)
- 専用ホームページ等を活用し、支援ネットワーク及び支援体制を可視化します。
- コミュニティ FM を活用したきめ細かな情報の発信を行います。
- 被災団体ニーズと支援団体 (支援内容) のマッチングを行います。
- 支援内容 (支援物資・支援メニュー) の把握及び支援内容提供の呼びかけ・管理を行います。
3 加盟登録対象団体
構成団体
災害 NPO ネットは、社会課題の解決や公益活動を担っている団体により設立されます。
- NPO 法人、ボランティア団体、市民活動団体、自治会や町内会などの地縁団体 等
- 商工会議所(商工会)、中小企業家同友会、商店街組合、業界団体などの経済団体 等
- 市町村、災害ボランティアセンター、社会福祉協議会、社会福祉法人 等
- その他、実行委員会が認めた団体
4 運営組織
災害 NPO ネット実行委員会(本部)
災害 NPO ネットは、全体の統括や運営を担うために実行委員会を設置します。
実行委員会は、平常時から訓練等で災害時対応に備え、災害時には加盟登録団体への安否確認や被災者支援を行う等、発展的な仕組みづくりを行います。
災害時の被災者支援を行うに当たっては、災害ボランティアセンター等に出張デスクを置き、一体的に被災者の支援を行います。
地域連絡会グループ
加盟登録団体は、各市町村等を単位に地域連絡会グループを可能な範囲において結成し、地域の社会資源や各種団体相互の関係性、地域の災害特性に応じて、最も効果的な方法を決定し活動を行います。
地域連絡会グループは、必要に応じて本部への支援要請を行うことができます。
※ 地域連絡会グループが形成できない場合には、本部直接の加盟登録団体となり、本部に直接支援要請等を行います。
支援連携組織等
災害 NPO ネット実行委員会を設置し、全体の調整や運営を担います。なお加盟登録団体と地域の自治体等との連携がスムーズに図られるようになるまでは、京都府府民力推進課内に災害 NPO ネットの事務局を設置します。
(京都府関連機関等:各広域振興局、保健所、防災・原子力安全課、介護・地域福祉課)
市町村は、地域の社会福祉協議会や災害ボランティアセンターと協働して、災害 NPO ネット(地域連絡会グループ)の活動を支援します。
災害ボランティアセンター・社会福祉協議会と、平常時から災害 NPO ネットと情報交換等を行い、防災訓練や研修などを連携して行えるようにします。災害時には災害 NPO ネット(出張デスク) と情報交換等を行い、連携して被災者の支援を行います。
災害 NPO ネット概念図
災害時 NPO 等連携ネットワーク実行委員会(事務局)の役割
声かけ、支援情報提供・発信、支援活動資金活用、団体情報管理、広報、ホームページ、メーリングリスト、SNS、研修会、災害訓練、人材育成、本部オペレーター・地域コーディネーターのサポートを行います。